J1リーグ対横浜M以降、全く機能がしなくなってしまったミシャ式トータルフットボール。0トップともいえるこのシステムがここ数試合で不発、攻守において俗にいうつまらないと言える戦いをしてしまっています。
元々のミシャ式も比較的個人技に頼りがちな戦法でしたが、ここ数試合はより個人技が求められています。相手の研究も進んでいるため、うまく型にはまることがあまりにもありません。
70年代のオランダ代表、元祖トータルフットボールを研究した本を読むことで見えてきた課題を徹底的に究明します。案外納得することが多かったので、コンサポ、他サポともにぜひご覧ください
時計仕掛けのオレンジ。70年代オランダ代表のトータルフットボール。
後にバルセロナでも使用されるようになるトータルフットボール。当時のフットボールはわかりやすいほどの分業制。攻めは攻め、守りは守りとそれぞれのスペシャリストに任せていましたが、70年代オランダの台頭で一気にフットボール界の戦術が一転します。
コンサポであれば、わかるかもしれません。少し乱暴な言い方ですがFWがDF、DFがFWをこなせる11人をそろえたのがトータルフットボール。ただ熟せるだけではなく、FWがDFをやっても他の代表の一線級と変わらないDF能力を、逆もしかりで何でも専門家のようにこなせる11人という飛んでもチームです。
11人が監督並みのサッカーIQを誇り、他代表チームをあざ笑うかのようなオフサイドトラップ。トラップにかからないように自陣でボールを保持すると1人、2人、3人と次から次へと襲い掛かるプレッシャー。
個人能力にもたけており、ある選手は10メートル走金メダル級の走力、40メートル先でも確実にゴール枠をとらえられるシュート精度とシュート力。全員がテクニックに優れた技巧派で素早いパス回しに攻めながらポジションチェンジで相手を混乱に陥れます。
文字だけ見れば誰でもできそうですが、かなり難しいサッカーです。近年のバルセロナがその戦い方を捨てたと言えば、その難度は伝わるかと思います。
ミシャ式トータルフットボールと元祖の違い
・守備編 ~プレッシャーのオンオフ~
70年代オランダ代表の守備の形は激しすぎるプレッシャーと連動するDFラインにあります。激しいプレッシャーで相手に余裕を与えず、苦し紛れのロングボールもオフサイドトラップで難なくオフサイドにすると言うもの。大前提がそもそもプレッシャーにあります。
札幌の前節横浜M戦を見返すと、そのシーンはほぼなく1人でプレッシャー。ローテーションでのハイプレスはなかったと見えます。
70年代オランダも札幌同様に常にハイプレスをしていたわけではなく、マンマークも多様していましたが、ハイプレス>マンマークのようです。
対照的に札幌はマンマーク>ハイプレスで一致しません。もちろんミシャ監督の頭の中にあったのが何かわかりません。一概にまねをしろという訳ではないですが、そもそもミシャはキャンプ時からハイプレスをやりたかったはず。
そのため機動力のある選手を並べたMF登録選手のみの0トップ。ですがこのハイプレスが見られたのは神戸戦までくらいかなと思います。その後はなぜかマンマーク重視に、慌てさせるのも重要なはずですが、、
ミシャ監督やオシム監督が感銘を受けていると言われるバルセロナのヨハン・クライフ監督、巨匠ミケルス監督は相手にスペースを与えるのを極端なまでに嫌がりました。惨敗した横浜M戦では見事なまでにスペースを与えてしまっています。
本拠地での横浜M戦ではスペースをほぼ与えず、優位性を保って戦えましたが、今回はそれが無かった。ボール保持時と守備時では明らかに守備時の方が疲れるのも人体の特徴です。終盤疲れ果てていたのもマンマークにこだわってしまった結果かなとも思います。
問題は、次節の土曜名古屋戦、ルヴァン杯の横浜M戦!間に合わかと言われるとあまりにも時間が足りないです。このトータルフットボールを完成させるのに世界トップレベルの選手たちで数年かかりました。プレッシャーのオンオフの切り替えを瞬時に11人が共有するのは神業です。
完成することになるとあまりにもすごいのですが(笑)
・攻撃編 ~追い抜く連動性~
70年代のオランダにはサッカー好きなら知らなければならないヨハン・クライフという名選手が存在します。メッシ、CR7の台頭以前はバロンドール3回受賞の絶対的な存在感を残しています。
もちろん、このヨハン・クライフの存在も大きいのですが、当時のオランダ代表か彼抜きでも強いのが特徴。サイドであっても中央であっても、足が止まることはほぼなく、常に2列目、3列目の選手が前線の選手を次々追い抜きます。
足が止まらない分、パスコースは無限大。方向もゴールに近いコースを走るため相手DFにとっては驚異的です。「ボールを動かせ」という言葉以上に足を動かしています。それも攻撃的な位置取りで。
基本的な70年代オランダの戦い方なのですが、対横浜M戦ではそれがまるでなかったのが残念でなりません。リスキーなため、相応の危険性も伴いますが、中盤の底にいる選手の飛び出しがほぼなく、サイドの攻防でもボールを保持する選手へのサポートが遅かった。
攻めに関しても個人技での突破がある戦法ではないのですが、なぜか個人技の選択肢しかない場面が多かったのはこのせいだと考察します。
追い抜く姿勢を見せるだけでも相手DFとしては嫌なはずなのですが、なぜかマイナス方向でもらいたがる。おそらくですが、マンマーク指示をしっかり守りすぎたのではないかと分析します。
セカンドボールの奪い合いにも顔を出さず。人をマーク。決して悪くはないのですが、0トップである以上連動性が必須なはず。ボールに向かっていくことを第一にするチームとボールに来ないチーム。その部分で試合は決していたかなと。
完成度が低くてもプラス材料
この横浜M戦を振り返ると、前半で体勢が決しました。
マンマークで疲労感満載。その中でもブラジルトリオが躍動したのは大きなプラス材料でした!
この0トップシステムはMFだけじゃないとできない訳ではありません。もちろんトータルフットボールも元祖を見るとFWだらけ!
得点感覚が優れているのもFWの特徴なので、そこを生かさない点はないはず。ミシャの超攻撃的サッカー復活の瞬間を見届けたいですね!
個人的な思い ~理解者だけではない~
多くのファンの獲得のためにはメディア露出、メディア露出を増やすためには勝利!プロスポーツチームは勝ってなんぼなところがあります!
個人的には満員の札幌ドームを見たい!コンサドーレ札幌を知らない人たちにこれほど素晴らしいチームがあることを知ってほしい。
このブログを始めた原点もそこにあります。ここ数年の活躍、J1昇格のタイミングでコンサドーレを取りあげるべきではと提案しましたが、「どうせ順位低いし、弱いし、取り上げる必要はないだろ?」と言われたことさえもありました。
言った本人は忘れていると思いますが、言われた方はいつまでも覚えています。
滅茶苦茶悔しかった。。
そんな思いをこれからの札幌、コンサポになる人にしてほしくない!頼むから勝利を!負けるにしても綺麗な負けを!今回の横浜M戦のような事はないようにしてほしいです。
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